「完成しない、今」/ベンジャミン
 
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている

(昼下がり)

子供たちがホースの水で虹をつくる
二階のベランダから身をのりだす猫
視線の先には鳥が羽をやすめている

建築現場では低いうなりが
少しずつ何かを積み上げ
そして少しずつ何かを壊してゆく

(夕暮れ)

子供たちは家のあかりに吸い込まれ
猫はとっくに諦めて寝ているだろう
昼間の虹は茜色の空にとけてしまう

それでも
建築現場の鉄骨はまた少し空へ
どこまでも届くことのない空へ近づく
やがてどっしりとした建造物になって
空の重さなど忘れたかのように
人々を吸い込んでゆく

そうやって日々は

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