まぼろしの亡骸/ホロウ・シカエルボク
の中に映るものを一晩待った、夜明けとともに出かけて、廃墟へ行き、カメラを回収した、ひどい臭いと、アーモンドみたいなサイズの蠅の群れを潜り抜けて…
カメラはバッテリーが切れていた、充電しながらパソコンにデータを移し、再生してみた、しばらくの間は、ただ死んだ猫が映っているだけだった、窓のすぐそばに街灯があるせいで、明りは充分にあった…美しい光景だと思った、死に続ける建物と、死に続ける猫…俺はじっと画面に見入っていた…数十分が過ぎた頃、猫の目玉がぐるりと動いた、気がした…そんなはずはない、こいつは死んでいるのだ…目を凝らしたとき、猫の身体がゆっくりと大きく波打ち、延髄のあたりからなにかが抜け
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