拝啓 どなた様/中山 マキ
誰かを振り向かせる力が
備わっていない
不用意に聞こえて来る
子供の泣き声や
小鳥のさえずりにも
存在は名ばかりで意地悪なほど
手が届かないからこそ
どうしても欲しくなるもの
手の中にあったのに
どうしても失くしてしまうもの
同じぐらいに大事なはずだけど
意味合いの違いさえ
どうでもいいと思えて来る
必死に学んでいる限り
社会が自分に適応して行く
一人なんて怖くはない
まるで呪文のように
強がりは実はとても身近過ぎて
型通りの恐怖感を後ろ背に
気がつけば
依存と共存の境に
必死に跪いていた
たとえ悪戯でも何
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