六月の卵/
salco
冬の雪夜を仕舞っている
夏の波濤を想っている
儚い薄い殻の外
ひとむれの皐月の襤褸
うぐいす色の花粉を肢に
マルハナバチ
咲き残りの蜜を尋ねて回る
それも昨日のピリカの国へ
曇天の下たれもなく今日は
ほら雨粒が
今しも白の殻に落ちる
お前は涙を知らなかったね
ついぞお前は割れもせず
厳冬の斉唱
盛夏の遺失
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