小豆鍋/木屋 亞万
 
をする今夜は月も瞼をおろす

君がいま流した涙のひとしずくただすみやかに宇宙へ溶ける

デコルテに額をあててぐりぐりと首を振ってるでこが泣いてる

「泣くな」泣く「泣くな」泣かないもう泣かない「泣くな」「泣くな」に呪われている

いたくないよあんしんしていみもこたえもないままなにもかもおわる

嫌だね終わってしまうでも終りの見えないのもまたつらいことだね

花と目を合わさずむしるむしる手の中で崩れて眠れさやかに

だいだいのしずくがとぶぜ舐めたってあまくないのぜぬれたちんぴは 

ふくらんだ蜜柑の皮膚と肉の隙 ただようかつてのみずみずs BUSH!!リ

ぬるぬるとまとわりついた脂身も熱いお茶にはさらさら勝てぬ

ほうじ茶に封じられたし一枚の牛の恨みぞ流れ落ちぬる

黒い布一枚隔ててヘッドフォンにうたう唇と無音の部屋



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