漂流/takano
 
     
潰れた廃墟の団塊

不死の彷徨

(世界が視えない)


サンダル履きの幼児が

拳を握りしめ駆け抜けていく

 何かを追いかけているように

も見えたが

 母を探していたのかもしれない


 夏祭りの風船が社の屋根をつたって

頭をのぞかせた

 持ち主のいない風船は

そのまま悠然と飛翔し

 天空の暗渠へ向かった
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