漂流/takano
 
はるか 暗黙の真空地帯

すべてが遠ざかりつつ

疎遠を加速化していく

浮遊する無言の恒星物質

延々と遅滞する

光の触手

超電導な絶対零度の空谷へ

倒錯した耳が墜ちていく


(世界までの時間がはかれない)

世界へ戻る地図を失くした

銀河鉄道の駅舎が見えない

両手を垂れて重力の気配をたよりに

漂流する宇宙塵になる


帰宅困難者たちが見える

透明のビニール傘の群れが

匍匐歩行する

家と家族を遺失したデジタルフィルムの俯瞰
         
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