漂流/
takano
はるか 暗黙の真空地帯
すべてが遠ざかりつつ
疎遠を加速化していく
浮遊する無言の恒星物質
延々と遅滞する
光の触手
超電導な絶対零度の空谷へ
倒錯した耳が墜ちていく
(世界までの時間がはかれない)
世界へ戻る地図を失くした
銀河鉄道の駅舎が見えない
両手を垂れて重力の気配をたよりに
漂流する宇宙塵になる
帰宅困難者たちが見える
透明のビニール傘の群れが
匍匐歩行する
家と家族を遺失したデジタルフィルムの俯瞰
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(0)