場違いな賓客/まーつん
こんな感じだった
夜のプールで向き合う 二つの裸の心
君のことを 忘れるべきなんだろうな
まだ 顔もわからないうちに
まだ 名前も知らないうちに
断っておくが 俺には まともな将来なんてない
病に蝕まれた身体と 卑屈に歪んだ心
生まれてきたのが 間違いだったんだ
それとも 君の手を取って泳ぎ出し どこかの緑なす孤島を目指すか?
蜜が流れ 鳥が歌い 一年中 甘い果実をたわわに実らす 木々の生い茂る楽園を?
それは夢さ
手の上に震える
一本の羽根のように
吹けば飛ぶような 儚い夢
君には家族がある
俺の行く手にあるのは
自分で掘り当てた たくさんの落とし穴だけだ
それを避けて歩くうちに
貴重な人生の持ち時間は 俺の傍らを
早回しの映写フィルムのように過ぎていき 終幕へとたどり着いているだろう
そう 気付きもしないうちに
俺はそのうち
このパーティを抜け出して
煙草でもふかして 一息つくことにするよ
もう 身体を気遣うこともいらない
あの世でね
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