僕の欠片/Tシャツ
の体の中の細胞でさえ一度分裂したらもう二度と一つにはなれない。だからあの人にこの人に、僕の気持ちをうまく伝えられない。完全に伝えられない。悲しいなって思う。でも、僕は両親の細胞が合体して出来た。人生でたった一度だけ。たった一度だけ一つになれる。とっても素晴らしいことだと思う。でも最初で最後。もう二度と一つになる事はない。やがて赤ちゃんは大きくなって、色んなものから自分を作り上げる。決して一つにはなれないけど、みんなの何かが伝わって大きくなる。誰かの何かが僕の中で生きていく。父さんか、母さんか…誰だろう。やがて僕も死ぬときがくる。でもきっと、僕の欠片は誰かの中で生きていくんだなって思う。アメリカの免疫生物学者のはげたおっちゃんの言いたいことが分かった気がする。おっちゃんの欠片も僕の中にある。
この詩フォーラムに来る人たちも何かの欠片を誰かに残して、何かの欠片を拾っていくんだなって思う。
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