道化の還り道/yamadahifumi
 
   

人々が真剣になる時
俺は最もふざけた格好をして出て行って
人々を一つ、クスリと笑わせてやろう
人々は俺を見てゲラゲラ笑い
「道化、これをくれてやる」と言いながら
俺に十円玉を投げてくれるが
俺はその還り道、川のほとりで
その十円玉を川面に向かって投げる
それは「ポチャン」と切ない音をして
ゆっくりと川底に沈んでゆく
それは俺自身の姿でもあり
人々の姿でもある
そして俺は赤子のように目を腫らして
泣きながら家に還るのだ
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