6月の風/yo-yo
 
いまは6月の風が吹いている。

空には太陽があった。
雲があった。
そして月があり、星があった。
ときには羽をもった鳥や昆虫たちが、空の近くを浮遊していた。

ぼくは中学生だった。
あるとき、雲の存在が急に近くなった。
毎日きまった時間に空を見上げ、雲の様子をじっと見つめた。
雲の形と色を、灰色のクレパスでノートに写した。
写してみると、それは雲ではなかった。雲は手に取ることも確かめることもできない。正確に写しとったつもりでも、ノートの雲はまるで別物だった。とても雲には見えなかった。
刻々と姿を変えていく雲に、ぼくは追いつけない。目には見えないものが雲を動かしているのだった
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