思い出ナフタリン/komasen333
救いようがない場所に
気づいたらこんな場所に
バカにしていた当人が
バカにしていた対象そのものに
掬いようがない距離に
気づいたらこんな距離に
蔑んでいた当人が
蔑んでいた対象そのものに
お気の毒にと
愛想で付き合ってくれていた
2人称ではなかったけれど
3人称というほど遠くない人々
ふと見渡してみれば
1人もいなかった
もう、いなかった
ここには
1人もいなかった
いなかった いなかった
こんなはずじゃなかった
叫んでも知ったこっちゃない速度で
相変わらずの針先
そんなはずじゃなかった
嘆くだけでは何一つとして
思い出ナフタリ
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