タケイ・リエ小論/葉leaf
「貝」が存在し始める。詩における比喩は、日常言語における比喩とは多少その構造を異にする。日常言語における比喩は、あるものと他のものの類似性に着目し、比喩するものと比喩されるものを類似関係の相のもとで重ね合わせるものである。だが、詩における比喩は、類似関係を希釈化し、比喩自身が本体から独立した強度を持ち始めるのである。この引用部において、「貝」はもはや「私」と類似するものでもなければ「私」に従属するものでもない。「貝」それ自身がひとつの実体として存在と強度と文脈をまとい始めるのである。
以上から分かるように、タケイの詩に現れている詩を書く自我は、統一的でもなければ連続的でもなければ自己同一的でも
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