卒業/天野茂典
 
  ぼくは走ったあなたの元へ
  車を飛ばした
  ぼくは走った
  あなたの元へ
  きょう式を上げる
  あなたの元へ
  間にあうだろうか
  世界で一番好きなあなたがきょう
  式をあげるのだ
  ぼくは真実の愛を取り戻すべきだ
  ぼくは 愛している
  あなたのことを
  だれよりもちかっていえる
  だから家から飛んできた
  あなたはいつでもぼくのもの
  ぼくがまちがっていた
  ぼくがまちがっていた
  長い距離を飛ばして
  ついについた
  協会では厳かに式が進行していた 
  扉を開けたのはぼくだ
  みんなの視線が集まった
  ひるまなかった
  ぼくは花嫁のところに近づいた
  花嫁もぼくを待っていた
  二人は挙式をぶち壊し
  あなたを抱いて
  車に戻った
  真実の愛を
  得た喜びが
  二人を包んだ

  二人は愛に包まれていた


            2004・12・08

  

     


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