朝の遠い夜を(髪留め一つ分の輝きのための)/月見里司
少し上機嫌で宵を迎えると
黙ってふところをまさぐられ
虹のかけらを一つ
出し忘れていたのを思い出す
そいつは日没の時刻も守らずきらんきらんと光っているが
宵がつまんだらくすんで汚れて消えてしまった
これがせめられようか
むしろ、なぐさめなければ
宵まで汚れていくような気がしたのだ
なぜだか。
外套がどうにも似合っていない
噛み合わない夜が大口を開けたような
その歯の先にひっかけて
上着なしでネオンのひかえめな光芒を拾いに行くのは
無頼を気取っているようにも見えそうだ
宵や宵、また手に余らせる
まずはコーヒーを飲むところから始めたほうがいい
//2012年6月7日深夜
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