サマーローバー/竜門勇気
 

いつの間にか
慣れることに慣れたのさ
痛みが鈍くなって
楽にはなれたのさ

だって
あの頃に比べれば
怒鳴られても
バカにされても
お金にはなるし
少しばかりのプライドのせいで
変に腹を立てたりも
しなくなった

これで多分
しあわせなんだ
何かがあるぶん
しあわせなんだ

休日に街を離れて
ドブ川を歩いた
知らない町の知らない汚物が
僕の側で流れていく
僕は頭がパーになって
真っ白のまま歩くのさ
そういう理屈を受け入れるんだ
真っ白の理屈
誰かに何か言われても
真っ白だから
汚れるだけで変わらない

これでもう
終わりなんだ

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