ジャングル大帝/……とある蛙
 
暗い森の木の根元の茂みの中
闇に光る二つの目
光の反転した森の風景の中
鹿が逃げようとするが
矢庭に飛びかかる黒い大きな影

まず獲物の内蔵を喰らう
黄緑色の内蔵を喰らう
赤い筋肉を食いちぎり引っ張り
咀嚼することなく嚥下する
最後は骨にこびり付いた周りの肉を
卸し金のような舌で
シャブリ尽くす。

虎は毅然とまた悠々として森林を睥睨する。
彼はアジアの食物連鎖の頂点にいる
そうだ!王者なのだ

虎ははっきりとした縞模様を持ち
その鳴声は咆哮というに然く
辺り一面の空気を振動させる
王者なのだ。

ライオンというインチキな鬣を持った
百獣の王は

[次のページ]
戻る   Point(10)