離れ そのまま/木立 悟
 



背を向けた鏡にこそ
なお映るもの
うろこ とさか
さらに蒼へ
蒼はなつもの


岩が飛び去り 標が飛び去る
煙の家が道に立ち並び
来た方へゆく方へたなびきながら
在りつづけながら消えてゆく


一月と二月は右腕をむさぼり
三月と四月は吐き出して
いつまでも海に着かない地図を
夜が来ないうちに刻んでは撒き


花は無く 音は無く
花の影だけが降りつづく
まわり 重なり
互いを染めあい
ふざけあいながら


枝を焼く虹が原に寝そべり
ひと周り遅い午後を見る
波も陽も去ったあと
花の名でなく花そのままを
虹は虹を捨てなお待ちつづけている





























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