私は生きてるのだから/永乃ゆち
けて
そう思うしかないじゃないか
滅多にしない化粧をしてあの人に会いに行く日の事だった
私二度と化粧なんてしない
私二度と恋なんてしない
お洒落をする気分になんてなれない
でも本当は分かってる
いつかは起き上がれる
あの人は風化していく
私は新しく恋をする
過去は思いがけない速さで過ぎてゆく
私は毎日笑って暮らし、時々あの人の事を思い出して
苦しい気持ちになるんだろう
そうでなきゃやってられない
そうでなきゃいけないんだ
私は生きているのだから
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