ヒキナギ乞う唄/砂木
雛は鳴いて 朝露流れる 雲白く
つたのからまる古木 陽が射し
巣穴からのぞく 黄緑の小鳥
アイビーの葉陰をすりぬけ
近くの木にとまる
尾をうちふり チチチッ
おはよう ナギ
会社に行こうと車を出すと
車庫の前から飛び立つ小鳥
そのまま飛んで電線に止まる
時には 草むらに下りる チチチッ
いってきます ナギ
会社から帰る道すがら
家に近づくにつれ
いるかな いないかな
いいとしをしてばかげてると
自分にあきれつつも期待している
家の近くの電線にいると
一日の嫌なことも ふっきれた
ただいま ナギ
ナギのどこに惹かれたのだろう
一
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