変な癖/小川 葉
 


ものに手を触れると、匂いを嗅ぐ癖がある。小学校低学年の頃からだろうか、今、小学二年生の息子も、最近、同じことをするようになった。
からかうように言うと、きっとあの頃の私みたいに、気にするに違いないから、お父さんもね、おまえくらいの頃、同じ癖があったんだ、と話してみた。すると、なぜかとても嬉しそうに、息子が笑うのである。
そうしてドアノブに、わざと触って、手の匂いを嗅いでみる。すると息子も笑いながら、父の真似をして手の匂いを嗅いで笑う。
同じだね、と言って。
神経質なのではない。
きっと、たんなる遺伝なのだ。
いつかのご先祖様が、何か汚いものに触ってしまい、手の匂いを嗅ぐこと
[次のページ]
戻る   Point(1)