洞へ 夜へ/
木立 悟
穴 音の穴
腕を伝い 地に刺さる色
緑を呑んで倒れては
水の底にかたちを残す
文字なのか絵なのかわからない
光に近い世迷言を
足跡に無数の骨がつもり
旧い旧い星座を視ている
どこに立っても 目をつむり
すべての廻転を悼む夜たち
手のひら手のひら手のひら手のひら
原を分ける無数の径を
ひとつのしずくに抄いゆく
ただそれだけの 手のひら手のひら
土のなかの
鉱を聴く火
洞を照らす わずかな光
夜を夜に震わせてゆく
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