霧を食む/霙小町
悲しみを食べて
生きていけたらいいのに
そうしてあなたを
からっぽにしてあげるのだ
あなたの悲しみを食べたいのです
もう泣かなくていいように
もう しんでしまってもいいように
そうだ、あなたの左腕をください
そんなものがあるから
いけないのです
悲しみなど
霧のようなものなのだ
あなたを取り巻き
静かに狂わす
ああ あなたの周りを
照らす力が僕にあったなら
そんな煩わしいものは
捨てておしまいなさい
痛みを知るための腕など
なくてもいいのだ
僕があなたの悲しみを
食べてしまえたらいいのに
戻る 編 削 Point(1)