あたらしいものたち/梅昆布茶
あたらしいものにはまだ名前がない
形もあまり決まっていないしそれはたぶん
人類が歴史のなかへ隠しておいたものを
あきらかにするようなようなかたちではみえててこないのだろう
冷蔵庫のドアに貼ってある付箋の文字のきみの固有名詞の響きが
普通名詞とならんで僕からはうすくて遠くてせつないように
それは熟練した鉱山技士が本命の鉱脈をひたかくしにするように
支脈のまましばらくたたずんではぼくたちのちょっとでこぼこな
ことばの整列の中へそっと寄り添ってくるものなのだ
あたらしいものがことばを求めるのかあるいは
ことばがなにかえたいのしれないものの輪郭を炙りだしてしまうのか
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