流浪に添える待合室/komasen333
物語を失くした国を出てゆく
誰に追われるでもなく 逃避行のように
思い出す場面は 冗談にもほどがある
あの北欧映画の
ラストシークエンスによく似ていて
愛し過ぎたが故に遠ざけてしまう
こんな私を許してください・・・
ヒロインのように
平気でつらつらと
劇画的な街を
背景に
歌い上げるようにつぶやく
誰よりも愛していた
二人は 出逢うべくして出逢った
一目見た 瞬間から
記憶が知らない感覚へ落ちていって
誰よりも愛していた 互いに
今までの誰よりも 今までの何よりも
確かに感じていた
まっさらに色づいた 瞳が
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