春菊と少女/天野茂典
したしたしたしたしたした
春菊と少女が
したしたしたしたしたした
街のネオンと少女が
したしたしたしたしたした
(北風のふく寒い日は
おでん
すき焼き
鍋焼きうどん
たっぷり食べた
お腹いっぱい
恋文横丁
鯨屋でクジラもたべた
そのあとは
劇場によって拍手した
ループしてゆく環状線
十二月の枯れ葉がふきだまる
大きな窓と少女のスカーフ
石舞台の上で少女は鷹になる
獲物は狙って離さない
少女は飲む その血の一滴まで
したしたしたしたしたしたした
少女と春菊は 桃
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