折れぬ指先/根岸 薫
 

おもいうかべる


予感をくすねて
疲れたようにたおれる
肌のあかり 縛られたままで
暗い食事の時間を知る


軽くみすえる
秒針と影の空気
まっすぐに近づくほど信じられる
さわれないくちづけをずらして


貫くだろう
長い夜を揺れる色が
おもさを失くして汗をこぼし
かなたで未だふたつにある


しずかな この
過ぎ方 ゆっくり ゆっくりと
ゆきわたる柔らかさも
迷う本の閉じられた
狂う前の五分 つよく
折れぬ
指先



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