遠雷のした/
月乃助
女自身のすがた
そうであっても なにも不思議ではないはず
ここでは、この森では、誰もが死を共有している
遠雷がふたたび
ひびいた
都会の路地裏に生きる野良猫の
今日の糧を求める生きざまと 比べるのでも、
疲れきった体を 電車のゆれに眠りをむさぼる
ビジネス・マンの 凄惨な安らぎに 比べるのでもなく、
森で生きるということは、
命がけなのだと
そう思いながら
空のうめき声をきいていた
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