信用金庫が開くまで/komasen333
あどけない魔法 途切れないで
手を合わせて祈った
田舎のおじいちゃんのような空に
くり返す切なさを
止めどない憧憬を
持て余した
無限にあったはずの三年間を
悔やんでも、悔やんでも
夏を終わらせるように
宵闇が深まるほどに強まる雨足
何を物語ろうとしているのか
こんな空なのに
うっすらと見える月明かり
ほどなくして青白い
生まれたてみたいな顔つきした
小さな小さなこの街
張り裂けたことは
もう、数えきれない
両手の指を何往復しても
とても、数えきれない
信用金庫が開くまで
長めの朝食作り
慣れない手つきで
五、六
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)