ルチーノとマリア(改作)/永乃ゆち
 
だった街がまた血で染まる事になる

俺ももちろん駆り出される


よくある話さ

どこにでも転がってる

俺は行く当てなんてないから

この街に居るけど

愛してる訳じゃない


ルチーノとは二言三言言葉を交わしたことがあるだけで

何の恩恵も受けてないしヤツの為に俺が命を投げ出すいわれもない


ただ俺がまだガキだった頃

手の中から離れた風船を

ルチーノが素早く手を伸ばし取ってくれた事があった

俺がルチーノの子分になったのはそれだけの理由だ


街中の人間から恐れられてはいたが

街中の人間から信頼もされていた


誰か
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