ナギの唄/砂木
 

子が一羽は 助かったのか あれは子か
黄緑色の二羽が屋根に並んで立ち
一羽のヒキナギが すぐ近くの電柱にいる
二羽の黒いカラスの周りを飛び回りながら
チチチッと鳴き すさまじい勢いで威嚇している

ヒキナギは火の鳥 巣を作ったら良い事がある
追い払ったりしてはいけないと聞いた
長い尾を打ち振りさえずる姿は愛らしく
火の鳥などと何故呼ばれるのかと思っていたけれど
自分よりも何倍も大きなカラスに
命がけで立ち向かう姿は やはり火の鳥
火の神様 あの一家を助けて下さいと
私も打たれたように 全霊で祈ってしまった
ただの威嚇にしてはすさまじい
もしかしたら子の死体を食べられ
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