ナギの唄/砂木
台所の窓から見える
枝を切り落とされツタだらけになった
古く太い木に 小鳥が住み着いた
ツタのカーテンは巣穴を塞いで
子を守りやすいのか
ツタの中に入ってゆく
朝ご飯の支度をしながら ちらちらと見た
ある日 家に帰ると小鳥はいない
猫に巣を襲われて逃げた と見ていた人が言う
ひな鳥が一羽 猫に弄ばれ転がっていると言う
あそこだと木の下を示された
でも私は見に行けなかった
鳴声の聞こえない静かな朝
台所から見えるツタだらけの木
いつもの日常になったと思った
けれど数日後 外のけたたましい鳴声に
屋根の上を見上げると
一羽 二羽 三羽 ヒキナギがいる
子
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