印象/八布
 
手に持った花だけが赤くて
微笑みは色づくことなく
そんな夢の残り香だけが
寝ぼけまなこに引っかかってる


言葉にした途端に取りこぼしてしまう
こころの音階
りんごをりんごと
恋を恋と
名付けた瞬間
僕たちは裏切るのだ
世界の手触りを


朝一番で届いた手紙を
破り捨てる

いつまでもたためない
胸の奥の



だのにページはめくられ続ける
うたたねの間もずっと






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