ふたつの出会い/八男(はちおとこ)
この仕事をしていなかっただろうと思います。
十年程前、末期がんを患っていたおじさんと知り合いました。おじさんは昔、福祉の大学を卒業されていて、最期くらい勉強したことをやってみたいと、保育園で学童保育の仕事をされていました。このおじさんと一緒に時間を重ねてみたいと思い、しばらく通っていました。春に知り合って夏には他界されてしまいまいたが、なんでもすぐに実行される方で、ある日は突然思いついて「ここにばぁーっとぎょうさん咲いたらすごいぞ」と、保育園のすぐ目の前の土手一面にひまわりの種を植えられました。亡くなられて間もなくのこと、夏の夜にそこを訪ねると、月明かりに照らされて見事にたくさんのひまわりが花を咲かせていました。その光景から、そうかあ!夢をかなえるというのはこういうことなのかあ!と思い知らされました。おじさんが毎日夢に向かって頑張っている姿に、学童保育に通う小学生の表情が日増しに良くなっていったのを思い出します。いつか、あのおじさんみたいに、あそしあの中庭らへんにこっそり夢をかなえられる支援員になりたいと思います。
戻る 編 削 Point(2)