産まれてきてくれてありがとう/いぬぐす
はじめて生き物の最後を看取った
ＴＶや本やゲームや映画や動画ではありふれてる 死
だけれど今度は違っていた
８年と半年の思い出を重ねてきた者の 死
それは美しい羽を持つ文鳥
つややかな羽はそのままに
くちばしは朱から肌色に血の色が引いて
まだ死んだばかりの体は温かく
なによりも顔が、
今生を満足し
苦界から浄土へ行けることを満足し
新たな旅立ちに満足していた
その姿はひとつの希望だった。
死は希望を奪えないことを私は理解した。
美しい文鳥よ
私の愛し児よ
新たな旅立ちに手を合わそう
新たな祈りをささげよう
冥福を祈る
虹の橋の先で逢える日まで。
くろちゃん、
産まれてきてくれてありがとう
私の家に来てくれてありがとう
私と生活してくれてありがとう
私に最後を看取らせてくれてありがとう
死んでくれてありがとう
あなたの生きざま、死にざまを無駄にはしない
あなたは私にとって最高のセラピストであり、
最高の教師だった。
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