幾千幾億の高揚樹林/komasen333
 
淡く儚く散り逝く
切なく脆く飛び立つ

昇る音階に
合わせるように踏み出したおぼろげな勇気
迷い込んだのは
昔話めいた背景音の森

行方はなくとも
目指していた愛は遠くとも
叙情的な交響曲に
包まれるように洗われるように  
意識は
大空を翔る鳥達のように伸び伸びと

知らなかった感覚   
小さな小さな風景の連続
知らなかった場面   
次々に紡ぎゆく自然の呼び声

遠い日々に呼吸していた海の感触
螺旋階段のように昇っていた
深海魚たちの息づく粒
唐突に
この心に安楽の潤いとはまた違う 
太古の記憶にも近いものを想起させる

知らなかった感覚
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