あの頃の風と、風の匂いと、サヨナラした思い出に宛てた生きてるって言葉/雅寛
 
自転車で風を突き抜けていく。
何時も変わらないあの道は、
今日も忙しそうに回っていた。
春の風が吹いて、
土の香りがする道。
この道を通る度、
下らない話に笑ったり、
耐えきれない何か背負ったり、
切ない恋して、わざわざ破ったり、
憂鬱な何かに涙枯らしたり、
だけど、
僕だけ置いて行っちゃった。
僕はまた取れない電話に怯える日々に戻っただけ。
僕をあの頃に帰してよ!
確かにあの道を通る度辛かったんだ!
生きるのが恥ずかしくて何度も死のうと思ったさ。
でも、
どうして誰かに僕の名前を呼ばれる度切なくなるんだい?
もう二度と呼ばれる事はないあだ名が寂しいからかい?
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