金環日蝕/小川 葉
 


靴屋でスニーカーを試着していた
少し小さかったので
もう少し大きいサイズはありませんかと店員に尋ねると
少し大きいサイズの男の人を連れてきた
いかがですかと聞く店員に
ちょうどピッタリですと告げたわたしは
その男の人を購入することにした
家に帰ったわたしは
買ったばかりのスニーカーを履こうとしたけれど
やはりそれはスニーカーではなく男の人なので
何かが違うと思い事情を聞くと
何かが違う経緯でこのようなことになってしまい
申し訳ないと男の人は謝った
とにかく夜も遅いので
男の人を泊めて眠ることにした
男の人が言う
何かが違う経緯を探るため
手がかりとなる場所へ翌朝出かけることにして
朝目覚めたわたしは
昨日買ったばかりのスニーカーを履き
電車を乗り継ぎ手がかりとなる場所へ行った
約束の場所に男の人はいて
昨夜は泊めてくれてありがとうと言う
その記憶もスニーカーのサイズも
何もかもピッタリで
ふと何かが違う気がして
空を見上げると
金環日蝕の真っ最中だった


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