「苺畑の悪魔」/桐ヶ谷忍
て、免れぬ宿命である。
悪魔の代償といえば?
足る事を知れ。
これは私の座右の銘である。
同時に、どこまで生きても足る事を知らない私で在り続けるであろう事を、
私は知っているのだ。
だから、座右の銘としている。
そしてその滑稽さに冷笑と憫笑を私自身に向ける私が居る。
強欲とか貪欲とか、そんな問題じゃない。
底のない蟻地獄。
望みを叶えても叶えても、まだだ、まだ足らないと血走った目で
叫んでいる獣が居る。
簡単な。理由はとても簡単なのだ。
こどもには無償の愛情が必要で、それが足る事を知らしめる。
私にはそれがなかった。
それだけ。
そのたったひとつの事
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