Pandora (Πανδώρα)/南 さやか
もしも想い出が 熟した安らぎだけならば
こんなに熱く振り返ったりはしないだろう
互いの いちばん弱い場所を
最後に求めた旅だったから
僕らは同時にその日々を想い出すのかもしれない
開けてはいけない箱の中に横たわる
幼いふたり 今の僕
腰をかけたまま 立ち上がることのできない長い月日
君だけが 日増しに輝いて行く
あの 金環食のように
いい瞬間だけが二度と戻らない それが時の贈り物だと告げる
君の声のように
やさしい陽射しが落ちて来る
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