胡坐くらいは許します/藤鈴呼
 

昔は 汚れているのが 当たり前だったのに
こんなにも 不衛生を 嫌う 世の中で

衛星を 眺めながら
白衣を キチッと 合わせる

其処に 一ミリたりとも
雑菌が 入らぬように

雑念ばかり 胸に 抱えた ままで
身奇麗にして 出掛けるんだ

しゃなり しゃなりと 歩くよ
誰も 知らない

部屋に 帰ると
ジャージ姿で
胡坐 欠いてる こと

暴言なんて 吐かない
そろそろ スキー シーズンだから

ボーゲンだけは
復習して おこうかな

なんて 言って
ふふっ と 笑う

ソツなく こなす 会話の輪は
彼女のもの

笑顔が 揺れる
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