prominence/mizunomadoka
きみは髪留めをもらった
母からの誕生日プレゼントだった
青と赤のガラスを
茶色のゴムがつないで
ゆらせばカチカチと
きれいな音がした
きみは毎日それを
学校につけていった
アメリカのお土産にもらったと
嘘をつくまで
きみは
髪留めと縁を切った
十何年が過ぎ
ガラスだけになった髪留めを
きみはヘアゴムでつなぐ
あれ以来
伸ばすことのなかった髪を
無理に結わえて
歩き出す
懐かしい小学校の
花壇から
きみは跳ね
髪留めを鳴らす
あのときと
同じ音がする
青と赤の
プロミネンス
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