あざみ嬢の物語/田園
君はわらっていておくれ。ここじゃ迫害されるというなら、僕の背中にお乗り。一緒に旅をしよう。」
あざみ嬢の心は高鳴った。
「わたしでいいの?」
「むろんさ!」
あざみ嬢は遠くで見える老人たちに気づかれないように、根を出し、体全部でツバメに乗った。
「痛くないの?」
「ぜんぜん!君は怖くないかい?」
そこであざみ嬢はやっと笑った。
「ぜんぜん!」
あざみ嬢あざみ嬢あなたの花は艶やか。したたる水を含んで。
あざみ嬢あざみ嬢あなたの花はしとやか。けして派手ではないがりんと立っている。
あざみ嬢あざみ嬢あなたの花は麗しい。たおやかに暮らす知恵を含んでいる。
あざみ嬢あざみ嬢きみはもう、解き放たれた、老獪な罠から。
幸せを!
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