白衣の人/ベンジャミン
 
はいつになるのかなぁ?」

いつの間にか、病室の中は夕日の赤と同じくらいになっていました。
その人は僕の肩をぽんぽんと軽くたたくと、ゆっくり立ち上がって、そして入り口でもう一度振り返ってから、最後に
「元気になってくださいね」
と、かたそうな眼鏡の奥に、やわらかい瞳を浮かべて廊下へと歩いてゆきました。
僕は閉めてくれたカーテンごしの夕焼けを見つめながら(ここはただ白いだけじゃないんだ・・・)と、白衣の中の心の色を見た気持ちでいっぱいになりました。

それからもう半年近く経ちます。
からだの方はだいぶ良くなって、外に出て動くことも、バイクなんかにも乗っています。あとはもう少し時間を
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