白衣の人/ベンジャミン
 
僕は病院が嫌いです。
痛いし辛いし怖いし寂しいし、何もいいことなんてありゃしない。でも、行かなきゃいけないときは行こうと思っています。何でそう思うようになったのか、僕の話を聞いてください。

僕が頻繁に病院でお世話になるようになったのは5年くらい前からです。仕事中に倒れたのがきっかけでした。僕の病気は見た目にはわかりません。でも、ひとたび発作を起こすと、周りにいる人は迷わず救急車を呼びます。なので、かかりつけの病院ではけっこう顔が知れるようになってしまいました。

正直に言うと、僕は「いい患者さん」ではありませんでした。僕は自分が病気だということを認めたくなかったし、それを理由に周りから
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