映したものは/
ただのみきや
雨に濡れたアスファルトに
並木のみどりが映っている
言葉に餓えた人たちが
傘に隠れて哭いている
雨は涙に良く似ている
昼は処刑台に良く似ている
蔑みと嘲笑は
息をするかのように
猛禽が叫ぶように
自動車は止まらず
雨に濡れたアスファルトに
滲みゆく 紅の鳩
この心が映すものも また
かすみゆく ひと片のいのち
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