雨降りの街/吉岡ペペロ
雨降りの夜の街が黒かった
フロントガラスに霧吹きのような水滴
人間界を代表して愛されたこと
たぶん得意げで凛々しかった頃
ワイパーでいっぺんに消えてしまった
雨降りの街が騒がしかった
びりびりと震えながら祈った
誰も知らないところで
誰にも気づかれず咲く花になろう
私はそのようなものに
なりたくてなった結晶なのだ
雨降りの夜の街が黒かった
フロントガラスに霧吹きのような水滴
人間界を代表して愛されたこと
たぶん得意げで凛々しかった頃
ワイパーでいっぺんに消えてしまった
雨降りの街が騒がしかった
戻る 編 削 Point(5)