グルーミング/梅昆布茶
 
さわれないことば
冷えてゆくかけがえのなさ
いつもとぎれてしまうモチーフ

あたたかいスープもないテーブルでは
君の影がゆらめいてみえる

ほんとうは君の髪にふれていたかった
ゆびがいたくなるほどはてしなく

やさしい時間にこころとからだをゆるめて
魔法のエンドルフィンの陶酔に
世界を凝縮してしまいたかった

ぼくたちは進化のかたすみの霊長類
動物行動学の痛々しいサンプルではなく
理科室の人体模型の兄弟でもなく

そう僕らの車椅子にははねが生えているんだって
いままできづかなかっただけさ

かなしい親愛のしるしは
ありきたりな携帯メールの絵文字のなかで
燃え尽きてしまったねあとかたもなく

僕はきみとの社会的共存と和解と
ちいさな序列のためにきょうも
きみのやわらかなうなじやその
光に映える髪に

すべてのきみに
指をすべらしていたかったのだ


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