ひかり まわりみち/木立 悟
蝶のくちもと
触れる予兆
硬い草色
舐め取るふるえ
粉にまみれた異母兄妹を
泡のように飲み干して
こぼれた光
夜の 市街
皆のところに行けない犬
噴水を巡り
消えては現われ
同じ影をすぎる
遅く目覚め
改まる
河口の市に
風おくる日没
帆船の上の会話
いつか離れ 帰らない
夜の方から午後を語れば
いつまでも終わらぬことに気づいて
やわらかなかたまりに導火線を埋め
遠く遠くのばしてゆく
線はいくらでもつづくのに
火はどこにも見あたらぬ
白い紙の 半分は青
隅を折る三角
手のひらの上の手
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