ひかり まわりみち/木立 悟
 




蝶のくちもと
触れる予兆
硬い草色
舐め取るふるえ


粉にまみれた異母兄妹を
泡のように飲み干して
こぼれた光
夜の 市街


皆のところに行けない犬
噴水を巡り
消えては現われ
同じ影をすぎる


遅く目覚め
改まる
河口の市に
風おくる日没


帆船の上の会話
いつか離れ 帰らない
夜の方から午後を語れば
いつまでも終わらぬことに気づいて


やわらかなかたまりに導火線を埋め
遠く遠くのばしてゆく
線はいくらでもつづくのに
火はどこにも見あたらぬ


白い紙の 半分は青
隅を折る三角
手のひらの上の手
[次のページ]
戻る   Point(5)