枝まめ/はるな
いなとおもっていたけれど、なんにも持っていなかったし、なんにも使っていなかった。体もなければ心もないし、始まってもいなければ終わってもいなかった。やってきて、いってしまう。なにもなかった。
それで、夕飯いらないよの電話のあと、さえざえした緑を見ていたら、きゅうにそれが寂しくなってしまったのだ。
みんな行ってしまった。わたし自身さえ、わたしを置いて行ってしまった。
強烈なさびしさが、両頬をぶちのめしていった。豆腐の灰汁がなんぼのもんか、と、おもったけれど、乳白に罪はなく、だから、会いに行こうとおもった。
これからは会いにいけばいい。そして連れていけばいいと思ったのだ。
いろいろなひとがやって来る、そして行ってしまう。でも、また会いに行く。
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